【紅葉狩り】お日さま色の魔法の葉っぱ【目安時間10分】

むかしむかし、まあるいおやまの、ちいさな、ちいさな、ふくろうの森に、コロンという名前の、それはそれはちっちゃなフクロウの赤ちゃんが住んでいました。

コロンは、まだ生まれて数ヶ月。ふわふわの羽は、ミルクティーみたいにやさしい色をしています。

コロンのお家は、いちばんおおきなカシの木のてっぺん。お母さんとお父さんに、いつもぎゅーっと抱っこされて、**「ホーホー」**と静かな子守歌を聞きながら眠るのが大好きでした。

ある日の夕方。お日さまが、おやまの向こうにゆーっくりと沈んでいく頃です。森じゅうが、オレンジ色とむらさき色のきれいなまほうに包まれていました。

「コロン、もうすぐねんねの時間だよ」

お母さんが、やさしい声でささやきました。でも、コロンはいつものように、ねむねむになりません。目をぱっちり開けて、きょろきょろとあたりを見回しています。

「おかあさん、あのね、まどから見える、あのあかいものはなぁに?」

コロンが指差したのは、お家の窓のすぐ外。いつもはみどり色だった大きな木の葉っぱが、なんだかキラキラと輝いて、とってもきれいな色に変わっているのです。

「ああ、あれはね、紅葉というんだよ」

お母さんはコロンを抱きしめながら、教えてくれました。

「紅葉??」

「そう。季節があきになって、だんだん寒くなってくると、木々がおひさまの光をぜんぶ集めて、葉っぱの色を変えるんだ。まるで、森じゅうがおひさまの色のローブを着たみたいにね」

コロンは、そのおひさま色のローブから、目を離すことができません。

まっかな葉っぱ。きいろな葉っぱ。オレンジ色、うすもも色、そしてちょっとだけみどり色も残っている葉っぱ。どれもこれも、うっとりするくらいきれいです。

「コロン、あしたは、みんなで紅葉狩りに行こうか。紅葉狩りというのはね、森のなかに降りていって、きれいな紅葉を探しに行くことだよ」

その言葉を聞くと、コロンの眠気は、どこかへ飛んでいってしまいました。

「やったぁ! いく! いく!」

「しーっ、しーっ。声を小さくね。お隣のハリネズミさんが起きちゃうよ」

お母さんにふわふわの羽でなでられて、コロンはしずかに目を閉じました。明日の紅葉狩りのことを考えると、胸のなかがぽかぽかして、いつのまにか、すうすうと、いい気持ちで眠りにつきました。

次の日の朝。おひさまが森の木々の隙間からこぼれてくると、コロンは、はっと目を覚ましました。

「おかあさん! おとうさん! 紅葉狩りだよ!」

コロンは、まだちょっぴり眠そうな両親をつついて、急かしました。

「はいはい、わかったよ。さあ、ごはんを食べて、お着替えをしようね」

コロンは、おいしい木の実のスープを飲んで、お気に入りのどんぐり色のマフラーを巻きました。お母さんとお父さんに挟まれて、そーっと、そーっと、お家を出発です。

お家を出て、カシの木の幹をとことこと下りていくと、森の地面には、きのう窓から見たおひさま色の葉っぱたちが、ふっかふかに積もっていました。

「わあ!」

コロンは思わず声をあげました。地面はもう、いつものくろっぽい土の色じゃありません。まるで、オレンジ色と赤色の、きらめくじゅうたんが敷かれているみたいです。

コロンが、おそるおそると、その落ち葉のじゅうたんに、ちいさなあんよを降ろしました。

「サクッ」

「カサカサッ」

足の裏から聞こえてくるのは、なんとも気持ちいい、やさしい音です。コロンは、それがおもしろくて、サクサク、カサカサと、何度も踏みつけてみました。

「コロン、こっちだよ。もっときれいなところがあるからね」

お父さんが、コロンをやさしく招きました。

コロンは、両親について、落ち葉のじゅうたんの上をとてとてと歩きました。

しばらく歩くと、大きなカエデの木の下に着きました。カエデの葉っぱは、太陽の光を浴びて、びっくりするくらい、まっかっかです。まるで、森の太陽みたいに、あかるく輝いているように見えます。

その木の足元には、まるい、まるい、小さな赤い葉っぱがたくさん落ちています。コロンは、かがんで、それを一枚、そっと拾い上げました。

「わあ、みてみて! おかあさん! ハートの形だよ!」

そう、その葉っぱは、まるでちっちゃなハートみたいに、かわいらしい形をしていたのです。

「ほんとうだ。それは、カエデの木の、まほうのハートだね」

お母さんが、にっこり笑いました。

コロンは、**「まほうのハート」**を大切に胸に抱きしめました。

さらに奥へ進むと、今度はイチョウの木の林がありました。イチョウの葉っぱは、カエデとは違って、まっ黄色。まるで、空から金貨が降ってきたみたいに、まぶしく光っています。

地面に積もったイチョウの葉っぱは、やわらかい光を放っていて、コロンは思わず目を細めました。

コロンは、ふわっと、両手いっぱいにイチョウの葉っぱをすくい上げました。

そして、**「えいっ!」**と空に向かって投げ上げます。

きいろい雨が、コロンの上にひらひら、ひらひらと降ってきました。コロンはキャッキャッと笑いながら、そのきいろい雨を浴びました。

お父さんもお母さんも、目を細めて、そんなコロンの様子をあたたかく見つめています。

たくさん歩いて、たくさん遊んで、コロンの小さな羽には、まっかなカエデのハートと、きいろいイチョウの金貨がくっついて、キラキラ輝いています。

「コロン、そろそろお家に帰ろうか。おひさまが、おねむの時間だよ」

お母さんが、そっと声をかけました。

森の奥のほうでは、もう夕焼けのいろが、木々をやさしく染め始めています。

帰りの道も、サクサク、カサカサ。行きとは違って、なんだかしんみりと静かな音がします。コロンは、お父さんの背中にしっかりと抱っこされて、ゆらりゆらりと運ばれています。

お家に帰って、あったかいミルクを飲んで、コロンはベッドに寝転びました。

窓の外では、お月さまが、まんまるに輝いています。

まっかなハートの葉っぱと、きいろい金貨の葉っぱは、コロンの枕元にそっと置かれました。

「おかあさん、あのね。紅葉狩りはね、とってもたのしかったよ。森じゅうが、コロンのために、おひさま色のおふとんを敷いてくれたみたいだった」

コロンは、うとうとしながら、言いました。

「そうだね。あのおひさま色のまほうは、コロンをやさしい夢の国へ連れて行ってくれるんだよ」

お母さんは、コロンのふわふわの頭を、そっとなでました。

コロンのまぶたの裏には、まっかなハートと、きいろい金貨の、あたたかい色が広がっています。

サクッ、カサカサッという、落ち葉のやさしい音が、コロンの心に子守歌みたいに響きました。

そして、コロンは、おひさま色のまほうに包まれて、しずかに、しずかに、深い眠りについたのでした。

投稿者 まねき猫

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