【運動会】ぴかぴかメダル と おひさまの笑顔【目安時間20分】

ぽかぽかおひさまが、もりのようちえんの屋根をきらきらと照らす、気持ちのいい朝です。

うさぎのぴょんくんは、ぴょんぴょん跳ねながら、ようちえんの門をくぐりました。

「おはよう、ごうくん! くるみちゃん!」

ぴょんくんが大きな声で言うと、くまのごうくんと、りすのくるみちゃんがにこにこしながら振り返りました。

「おはよう、ぴょんくん」

「おはよう!」

ごうくんは、のんびりとした優しい声で、くるみちゃんは、元気で可愛らしい声で言いました。

三人がお部屋に入ると、キツネ先生がにこにこ笑って待っていました。

「はい、みんなおはようございます。今日はお天気がいいですね。いよいよ今週末は、待ちに待った運動会ですよ!」

「やったー!」「うんどうかい!」

子供たちはみんな、ぱあっと顔を輝かせ、歓声をあげました。

運動会は、もりのようちえんの一番大きなイベントです。かけっこをして、玉入れをして、みんなで可愛いダンスも踊ります。そして、頑張った子には、園長先生からピカピカの金メダルがもらえるのです。

ぴょんくんは、かけっこのことを考えて、胸がどきどきしていました。

(ぼくは足が速いから、きっと一等賞になれるぞ! 一番大きな金メダルをもらうんだ!)

ぴょんくんの心は、わくわくでいっぱいです。

ごうくんは、少しだけ、もじもじしていました。

(かけっこ、ぼくは走るのがゆっくりだから、大丈夫かなあ。でも、玉入れは頑張るぞ。力持ちだから、たくさん玉を投げられるもんね)

ごうくんは、自分の得意なことを思い出して、ぎゅっと拳を握りました。

くるみちゃんは、お遊戯のダンスのことを考えていました。

(早くみんなで踊りたいな。音楽に合わせてくるくる回ると、お花の妖精さんになったみたいで、とっても楽しいの!)

くるみちゃんは、嬉しくて、思わずその場でくるりと一回転しました。

みんなそれぞれ、運動会に心をときめかせています。

「さあ、みんなでお庭に出て、練習を始めましょう!」

キツネ先生の言葉に、子供たちは「はーい!」と元気よくお返事をして、広いお庭へと駆け出していきました。

それから毎日、運動会の練習が続きました。

かけっこの練習

「よーい、どん!」

キツネ先生の合図で、みんなが一斉に走り出します。

ぴょんくんは、その長い耳をぴんと立て、風のように走ります。あっという間に一番になって、みんなを追い越していきます。

「わあ、ぴょんくん、はやい、はやい!」

みんなが拍手をしてくれます。ぴょんくんは、得意になって、もっともっと速く走りました。

一方、ごうくんは、一生懸命腕を振って、足を動かしますが、なかなかスピードが出ません。

「よいしょ、よいしょ」

いつも、みんなより少しだけ遅れてゴールします。

ある日、練習が終わった後、ごうくんは一人でしょんぼりしていました。

(ぼく、どうしてこんなに遅いのかなあ…)

すると、ぴょんくんがぴょこぴょことやってきました。

「ごうくん、どうしたの?」

「うん…かけっこ、速く走れなくて…」

ごうくんが正直に言うと、ぴょんくんは少し考えてから言いました。

「ごうくんは、いつも最後まで諦めないで走っているよ。それって、とってもかっこいいと思うな! ぼく、ごうくんのこと、いつも応援してるんだよ」

ぴょんくんの言葉に、ごうくんはびっくりしました。そして、胸の奥がぽかぽかと温かくなりました。

「ほんと? ありがとう、ぴょんくん」

次の日から、ごうくんは前よりももっと一生懸備、腕を振って走るようになりました。ゴールは一番じゃなくても、ごうくんの心は晴れやかでした。

玉入れの練習

玉入れは、赤組と白組に分かれて、どちらがたくさんカゴに玉を入れられるかを競います。

ぴょんくんとごうくんは赤組、くるみちゃんは白組です。

最初の練習では、みんなが好き勝手な方向に玉を投げるので、なかなかカゴに入りません。

「えーい!」「こっちこっち!」

玉はあちこちに飛んでいき、カゴは空っぽのままです。

キツネ先生は、にこにこしながら言いました。

「みんな、よーくカゴを狙って、気持ちを一つにして投げてみましょう。『せーの』で一緒に投げると、たくさん入るかもしれませんよ」

そこで赤組のみんなは、円になって相談しました。

「ごうくんがカゴの近くで投げるのはどうかな? 力持ちだから、たくさん入りそうだよ」

「ぴょんくんはジャンプが得意だから、高いところから狙うといいかも!」

みんなでアイデアを出し合いました。

そして、「せーの!」の掛け声で、みんなで一緒に玉を投げる練習をしました。

すると、どうでしょう。さっきまで空っぽだったカゴに、ぽん、ぽん、ぽぽん!と面白いように玉が入るではありませんか。

「やったあ! 入った!」

みんなで顔を見合わせて、大喜びしました。力を合わせることの楽しさを、みんなが感じた瞬間でした。

白組のくるみちゃんたちも、みんなで声を掛け合いながら、上手に玉を入れる練習をしていました。

お遊戯の練習

ようちえんのお庭には、毎日楽しい音楽が流れます。お遊戯のダンスの練習です。

曲は「森の音楽会」。みんなで小鳥さんや蝶々さんになって踊る、とっても可愛いダンスです。

くるみちゃんは、まるで本物の蝶々のように、軽やかにステップを踏みます。

「くるみちゃん、とっても上手ね!」

キツネ先生に褒められて、くるみちゃんは嬉しくて、もっとくるくる踊りました。

ぴょんくんは、元気いっぱいにジャンプ。ごうくんは、大きな体を揺らして、楽しそうに踊ります。

最初はバラバラだった動きも、練習を重ねるうちに、みんなの息がぴったり合ってきました。

みんなで手を繋いで輪になったり、二人組でポーズを決めたり。

みんなで一緒に踊ると、楽しさも何倍にもなります。

お空の上から見ていた小鳥さんたちも、思わず一緒に歌いだすような、素敵なダンスが出来上がっていきました。

練習は、大変な時もあったけれど、みんなで励まし合い、笑い合いながら、運動会の日を指折り数えて待っていました。

運動会の前の日の夜。

ぴょんくんは、お布団に入っても、なかなか眠れませんでした。

(明日はいよいよ運動会だ。かけっこで一等賞になれるかな。転ばないようにしなくちゃ…)

目を閉じると、広いお庭と、たくさんの応援の声が聞こえてくるようです。心臓が、どきどき、どきどきと速くなります。

そっとお部屋のドアが開いて、お母さんうさぎが顔をのぞかせました。

「ぴょんくん、まだ起きてるの?」

「うん…なんだか、どきどきして眠れないんだ」

お母さんは、ぴょんくんの隣にそっと座って、優しく頭を撫でてくれました。

「そうよね、明日だものね。ぴょんくんが毎日、一生懸命練習していたの、お母さんは知ってるわ。かけっこも、玉入れも、ダンスも、とっても上手になったものね」

「うん…」

「だから、明日は大丈夫よ。一番にならなくってもいいの。ぴょんくんが、にこにこ笑顔で、最後まで頑張れたら、それがお母さんにとっての一番の金メダルよ」

お母さんの温かい言葉に、ぴょんくんの心の中のどきどきが、少しずつ静かになっていくのが分かりました。

「楽しんでおいで。お父さんもお母さんも、力いっぱい応援しているからね」

「うん! わかった!」

ぴょんくんは、にっこり笑って、ぎゅっとお母さんに抱きつきました。そして、安心して目を閉じると、すぐにすやすやと可愛い寝息を立て始めました。

その頃、ごうくんのお家でも、くるみちゃんのお家でも、同じように、お父さんやお母さんが、優しく子供たちを励ましてくれていました。

「転んだっていいんだよ。最後までゴールすることが、一番かっこいいんだからな」とごうくんのお父さん。

「くるみちゃんの可愛いダンス、見に行くのがとっても楽しみだわ」とくるみちゃんのお母さん。

みんな、家族の温かい愛情に包まれて、運動会の日の夢を見ながら、ぐっすりと眠りにつきました。

夜空では、お月様がにっこりと笑って、明日のお天気を約束してくれているようでした。

朝です!

ぴかぴかのお日様が、夜の間に降った露をきらきらと輝かせています。雲一つない、最高の運動会日和です。

もりのようちえんのお庭には、たくさんの動物たちが集まっていました。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。みんな、子供たちの活躍を見ようと、にこにこしながら待っています。

「さあ、いよいよ運動会の始まりです! まずは、元気いっぱい、選手たちの入場です!」

園長先生のフクロウさんの声が響き渡ります。

音楽に合わせて、子供たちが胸を張って行進してきました。赤組の帽子、白組の帽子が、お日様の光を浴びて、とてもきれいです。

ぴょんくんも、ごうくんも、くるみちゃんも、少し緊張した顔をしながらも、一生懸命足を上げて歩いています。

かけっこ

最初の競技は、かけっこです。

ぴょんくんの出番がやってきました。スタートラインに立つと、心臓がまた、どきどきと音を立てます。

(お母さんの言葉を思い出そう。楽しんで、最後まで走るんだ)

「よーい…」

ぴしっと体を構えます。

「どん!」

合図の音と同時に、ぴょんくんは地面を力強く蹴りました。

風がびゅんびゅん耳の横を通り過ぎていきます。

「いけー! ぴょんくん!」「がんばれー!」

みんなの応援が、ぴょんくんの背中を押してくれます。

ぴょんくんは、夢中で走りました。そして、一番にゴールテープを切りました。

「やったー!」

万歳をすると、みんなが大きな拍手をしてくれました。ぴょんくんは、ちょっぴり誇らしい気持ちでいっぱいになりました。

次にごうくんの番です。

ごうくんも、スタートラインで、ぎゅっと唇を結びました。

「よーい、どん!」

ごうくんは、「よいしょ、よいしょ」と、練習の時のように、力いっぱい腕を振って走り出しました。

その時です。ごうくんは、石につまずいて、すてん!と転んでしまいました。

ひざを、少しだけすりむいてしまいました。

一瞬、涙が出そうになったごうくん。でも、その時、応援席からお父さんの声が聞こえました。

「ごうくん、立て! 最後まで走るんだ!」

ぴょんくんとくるみちゃんの「ごうくん、がんばってー!」という声も聞こえます。

ごうくんは、ぐっと涙をこらえて、ゆっくりと立ち上がりました。そして、またゴールに向かって走り出したのです。

みんなはもうゴールしていましたが、誰もごうくんのことを笑いませんでした。

それどころか、「がんばれー!」「あとすこしー!」と、ようちえん中のみんなが、ごうくんを応援し始めました。

ごうくんは、その声援に励まされて、とうとう最後まで走りきることができました。

ゴールしたごうくんには、一等賞よりも大きな、温かい拍手が送られました。

キツネ先生が駆け寄ってきて、優しく頭を撫でてくれました。

「ごうくん、よく頑張りましたね。転んでも、最後まで諦めずに走ったごうくんが、先生は一番かっこいいと思いましたよ」

ごうくんは、ちょっぴり痛かったひざのことなんて忘れて、にっこりと笑いました。

おひるごはん

かけっこが終わると、楽しいお昼の時間です。

みんな、お父さんやお母さんのところに駆け寄って、お弁当を広げます。

ぴょんくんのお弁当には、大好きなにんじんのサンドイッチが入っていました。

ごうくんのお弁当には、大きなおにぎりと、はちみつのデザート。

くるみちゃんのお弁当には、どんぐりの形をした可愛いハンバーグ。

「おいしいね!」「うん、おいしい!」

みんな、お外で食べるお弁当の美味しさに、にこにこ笑顔です。

「ぴょんくん、かけっこ一番、すごかったじゃない」

「ごうくんも、最後までよく頑張ったわね、えらかったわよ」

お父さんやお母さんにたくさん褒めてもらって、みんなの心は、お腹も心も、ぽかぽかに満たされていきました。

おゆうぎ

午後の一番最初のプログラムは、みんなが楽しみにしていたお遊戯「森の音楽会」です。

可愛らしい音楽が流れると、子供たちは、練習通りにきれいに整列しました。

くるみちゃんは、蝶々のようにひらひらと優雅に舞います。

ぴょんくんは、元気な小鳥さんのように、高くジャンプします。

ごうくんは、大きな森のくまさんのように、堂々と、でも楽しそうに体を揺らします。

みんなの動きが、ぴったりと一つになっています。

見ているお父さんやお母さんたちも、手拍子をしたり、目を細めたりしながら、子供たちの可愛いダンスに見入っていました。

曲の最後に、みんなで手を繋いで、にっこり笑ってポーズを決めると、今までで一番大きな拍手が、お庭中に響き渡りました。

みんな、汗びっしょりだったけれど、その顔は満足感で輝いていました。

楽しかった運動会も、あっという間に終わりの時間が近づいてきました。

閉会式では、園長先生のフクロウさんが、みんなの前に立ちました。

「みなさん、今日は一日、本当によく頑張りました。かけっこで一番になった子も、最後まで頑張って走った子も、みんなで力を合わせた玉入れも、心を一つにして踊ったお遊戯も、どれも本当に素晴らしかったです」

園長先生は、にこにことみんなを見渡して、言いました。

「勝ったり負けたり、速かったりゆっくりだったり、そんなことは、たいしたことではありません。一番大切なのは、みんなが一生懸命、心を込めて頑張ったということです。ですから、今日の金メダルは、ここにいる全員にあります。みんな、一人ひとりが、今日の主役です!」

そして、園長先生から、一人ひとりに、ピカピカに光る金メダルが首にかけてもらえました。

ぴょんくんも、ごうくんも、くるみちゃんも、みんな、少し照れくさそうに、でも、とっても嬉しそうに、その金メダルを受け取りました。

メダルは、お日様の光を反射して、みんなの胸でキラキラと輝いています。まるで、みんなの頑張りを褒めてくれているようでした。

お家に帰る道、ぴょんくんは、お父さんとお母さんと手を繋いで歩きました。

首から下げた金メダルが、歩くたびにカランコロンと優しい音を立てます。

「お父さん、お母さん、今日、応援してくれてありがとう!」

「どういたしまして。ぴょんくん、本当にかっこよかったよ」

お父さんもお母さんも、ぴょんくんをたくさんたくさん褒めてくれました。

ぴょんくんは、嬉しくて、心がふわふわと雲の上にいるような気持ちでした。

その夜、ベッドに入ると、ぴょんくんはすぐに眠たくなりました。

今日は、一日中たくさん動いて、たくさん笑って、たくさん応援して、ちょっぴり疲れました。でも、それはとても心地よい疲れでした。

目を閉じると、楽しかった運動会の一日が、順番に浮かんできます。

風のように走ったかけっこ。

みんなで力を合わせた玉入れ。

きらきら笑顔で踊ったダンス。

そして、胸に輝く、ぴかぴかの金メダル。

(ごうくんも、最後まで走れてよかったな。くるみちゃんのダンス、本当にきれいだったな…)

お友達のことも思い出します。

(また来年の運動会も、楽しみだなあ…)

ぴょんくんは、にっこり微笑んだまま、いつの間にか、すー、すー、と静かな寝息を立て始めました。

窓の外では、一番星が、まるでぴょんくんの金メダルみたいに、きらきらと輝いています。

「頑張ったね。ゆっくりおやすみ」

星たちも、優しくささやいているようでした。

投稿者 まねき猫

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