あるところに、元気いっぱいなげんくんという男の子がいました。
げんくんは、おもちゃで遊ぶのが大好きで、特にゲームが大好きでした。
ピコピコ、ピー!という音が聞こえてくると、げんくんの目はキラキラと輝きました。
ある日のこと、げんくんはお父さんとお母さんと、大切なお約束をしました。
それは、ゲームをする時の三つのルールです。
一つめは、「ゲームは一日三十分楽しむ」。
これは、げんくんの目が疲れないようにするためです。
二つめは、「テレビから離れてやる」
これは、げんくんの目が悪くならないようにするためです。
三つめは、「やるべきことを全部終わらせてからゲームを始める」
朝起きたら顔を洗って、ご飯を食べて、着替える。
お部屋のお片付けも、お勉強も、全部全部終わらせてからです。
「お約束、守れるかな?」
お父さんが聞くと、げんくんは元気いっぱいに「うん、守れるよ!」と答えました。
こうして、げんくんと家族の、ゲームをめぐる小さなお約束が始まりました。
次の日の朝、げんくんは目を覚ますと、すぐにゲームのことを考えました。
「早くゲームがしたいなあ」
げんくんは、パジャマのままで、テレビの前に座ろうとしました。
その時、お母さんの声が聞こえました。
「げんくん、三つのお約束、覚えている?」
げんくんはハッとしました。
そうだ、ゲームをする前に、やらなければならないことがたくさんあるんだった。
げんくんは、顔を洗い、ご飯を食べ、着替えました。
おもちゃが散らかっていたお部屋も、自分できれいに片付けました。
「お片付けは面倒くさいなあ」とげんくんは思いましたが、
「これが終わればゲームができる!」と思うと、がんばることができました。
全部のやるべきことが終わって、げんくんはテレビの前に座りました。
お母さんがストップウォッチをセットして、「さあ、三十分だよ」と言いました。
ゲームを始めると、げんくんは夢中になってしまいました。
まるでゲームの世界に入り込んだみたいです。
げんくんは、いつの間にか、画面に顔がくっつくくらい近付いてしまいました。
その時、お父さんが言いました。
「げんくん、もう少し後ろに下がろうね」
げんくんは、またハッとしました。
そうだった、テレビに近付いてはいけないんだった。
げんくんは、少しだけテレビから離れて、ゲームを続けました。
三十分が経ち、ストップウォッチの音がなりました。
「ピーッ!」
「えー、もう終わりなの?」
げんくんは、もっとゲームをしたくて、少しだけ不機嫌な顔になりました。
お父さんが優しく言いました。
「げんくん、お約束を守れたね。えらいね。明日もまた、三十分遊べるよ」
げんくんは、お父さんの言葉を聞いて、少しだけ嬉しくなりました。
「うん、わかった。明日もまたやろうね」
こうして、げんくんは毎日、三つのお約束を守ってゲームを楽しみました。
ある日、げんくんのお友達の友くんが遊びに来ました。
友くんは、ゲームをするのが大好きです。
げんくんと友くんは、二人でゲームを始めました。
ゲームはとても楽しくて、げんくんは夢中になりました。
三十分が経ち、ストップウォッチの音がなりました。
「ピーッ!」
げんくんはゲームをやめようとコントローラーを置きました。
すると、友くんが言いました。
「げんくん、もうちょっとだけやろうよ!もう少しでボスを倒せそうだよ!」
げんくんは迷いました。
もう三十分は経ってしまいました。
でも、ボスを倒したい気持ちもとても強かったのです。
げんくんは、お母さんの顔を見ました。
お母さんは、げんくんの気持ちを分かってくれているように、ニコニコと見守っていました。
げんくんは、友くんをまっすぐ見て、言いました。
「友くん、ごめんね。もう三十分経っちゃったから、おしまいなんだ」
友くんは、少しがっかりした顔をしましたが、すぐにげんくんに言いました。
「うん、そうだね。げんくん、お約束を守ってるんだね。えらいなあ」
その日の夜、げんくんは自分のことを誇りに思いました。
お約束を守るって、とても気持ちのいいことなんだ。
げんくんは、布団の中で、ニコニコしながら眠りました。
ある日、げんくんは風邪をひいてしまいました。
熱が出て、頭が痛くて、ご飯も食べられません。
お母さんは、げんくんのそばで看病してくれました。
げんくんは、お母さんに言いました。
「お母さん、ゲームしていい?」
お母さんは、優しく首を振りました。
「げんくん、病気の時、ゲームはお休みだよ。
体が元気じゃないと、ゲームも楽しくないでしょう?」
げんくんは、少しだけ寂しかったけれど、お母さんの言うことを聞きました。
早く元気になって、またゲームをしたいな、と思いました。
熱が下がって、元気になったげんくんは、またお父さんとお母さんとお約束をしました。
「三十分、テレビから離れて、やることを全部終わらせてからゲームをします」
げんくんは、もう一度、お約束を守ることを心に決めました。
ある時、げんくんは、とても難しいゲームに出会いました。
どうしてもクリアできなくて、何度も何度も失敗しました。
げんくんは、怒って、コントローラーを投げそうになりました。
その時、お父さんが言いました。
「げんくん、ゲームは楽しむためにあるんだよ。
うまくいかなくても、怒ったり、嫌になったりしないで、
また明日、挑戦してみようよ」
げんくんは、お父さんの言葉を聞いて、少し落ち着きました。
そうだ、ゲームは怒るためにやるんじゃない。
楽しむために、やるんだ。
げんくんは、深呼吸をして、コントローラーを大切に置きました。
げんくんは、三つのお約束を守り続けました。
そうすると、不思議なことが起こりました。
げんくんは、ゲームの腕がどんどん上がっていきました。
三十分という短い時間だからこそ、集中して遊ぶようになったからです。
そして、テレビから離れて遊ぶようになったので、目も疲れにくくなりました。
やるべきことを先に終わらせてからゲームをするので、
ゲームをしながら「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」
と、焦ることもなくなりました。
げんくんは、お約束を守ることの大切さを知りました。
約束は、自分を守ってくれる、魔法の力のようなものです。
そして、約束を守ることは、周りの人を安心させて、自分も安心できる、
とても素敵なことなのだと知りました。
今日もげんくんは、お父さんやお母さんと、
「ゲームの時間になったら、三十分、テレビから離れて、
やるべきことを全部終わらせてからゲームをしようね!」
と、笑顔で確認し合って、ゲームを楽しみます。
げんくんと家族の、幸せなゲームの時間は、これからもずっとずっと続いていきます。
